理事長所信

新たな半世紀の幕開け創立から半世紀、社団法人豊田青年会議所の運動が長きにわたり地域に必要とされてきたのは、揺るぎない理念、そして時代の変化に沿った明確なビジョンと行動があったからこそに他なりません。2011年5 月31日、社団法人豊田青年会議所は創立50周年を迎え、我々はこれまでのJC運動の歴史を振りかえり、運動を推進されてきた諸先輩方、また様々な協力を頂いた行政、企業、関係諸団体の方々、そして市民の皆様への感謝の気持ちを抱きながら、JC 運動の原点を見つめなおす絶好の機会を持つことが出来ました。脈々と引き継がれてきたすばらしい伝統の中で迎えた新たな半世紀の幕開けにあたり、常に時代に求められる存在としてあり続ける為に、我々は大きな夢と高い志を持ちながらも、地に足をつけた運動を着実に進めて参ります。

第53代理事長:小幡哲生

 

 はじめに 〜本当の豊かさとは


 2011年3月11日14時46分、東北を中心に日本列島を大きく揺さぶり、巨大な津波で多くの人命や平穏な暮らしを奪った東日本大震災は、我々の価値観や人生観を大きく変えました。我々は、地球の大きな循環の中に存在する一つの生命体であること、そして自然に生かされ ていることを忘れ、自然をあたかも征服できるかのように錯覚していたことをこの大震災は 改めて気付かせてくれたのです。また、この大震災で、物質だけの豊かさは一瞬のうちに 崩れ去ってしまうことも我々は実感させられました。戦後、日本人は経済的な豊かさを 求めて歩み続けてきた結果、世界でも稀に見る成功をおさめ、物の豊かな社会を築き上げることが出来ました。しかし、物質的な豊かさを享受する一方で、環境問題や人間関係の 希薄化による様々な社会問題が日本中で引き起こされています。
今こそ、「豊かさ」とは何かということをしっかりと考え、行動することが我々には必要と されています。お金や物の豊かさ、便利さ以上に、互いを思いやり、助け合い、共にたくましく「生き抜く力」と、自然や社会、人と人とのつながりの中で「生かされていることへの感謝」が漲る社会こそが、私たちが創造するべき「明るい豊かな社会」であります。震災の教えを必ずや次の時代に反映し、本当の豊かさを社会に築いていく責務が我々青年会議所にはあります。

 

ひとづくり・まちづくり 〜豊かな心と豊かな備え〜


 米紙ニューヨークタイムズは、阪神大震災当時に東京支局長だったニコラス・クリストフ氏 の「日本へのお悔やみ、そして称賛」と題するコラムを掲載、日本人の精神力の強さを称え、 復興に向けてエールを送りました。クリストフ氏は、震災後に略奪や暴動がなかったことや、 支援物資の奪い合いが生じなかったことを紹介しながら、「我慢」という日本語を引き合い に「日本人の忍耐力や冷静さ、秩序は実に高潔だった」と説明し、「今後、それらが示されるだろう」と期待を寄せています。その他にも、多くの海外メディアが冷静に眺めて、略奪や暴動 などがないことや、水をもらうために何時間も整然と並んでいたり、通路を閉鎖しないよう気遣ったり する日本国民に驚き、称賛の言葉で評論しています。

かつて世界中から称賛された日本人の心、その心は未だこの国にあるのです。今日の科学 文明に生きる現代日本人の意識にも先祖から受け継いできた精神性が、その根底に息づいているのです。今こそ、我々が忘れつつある日本人の持つ精神の高潔さを再認識し、愛情と思いやり溢れる美しい国民性など、数多くの内包する素晴らしい価値を持った国であること に誇りを持つべきであります。そして、この日本人らしさ、日本人のアイデンティティーを保ち続け、さらに磨きをかけていくなかで「尊敬される日本」を我々青年会議所が中心となって創造していこうではありませんか。

 

「いつか来る」と頭では分かっていながら、今回の東日本大震災の惨状を目の当たりに するまで、「まだ、大丈夫」と油断していた人たちが多いのも事実であります。想定外という 言葉が繰り返される東日本大震災と異なり、東海地震は「いつ来てもおかしくない」と警鐘 が鳴らされています。内閣府の中央防災会議が弾き出した 87%という数字があります。 これは今後 30 年以内に東海地震(M8.0)が発生する確率を示したものです。地震の被害はマグニチュードや津波の高さでは決まりません。その土地に住む人々の防災意識が大きく影響をしてくるのです。東海地区に住む人は、大震災の危険を指摘されている為、防災意識 が高いと言われていますが、それは今回多くの死者を出した宮城県でも同じでした。だからこそ、我々は東海地震に備え、より一層の危機管理能力を身につける必要があります。

東日本大震災の影響が日本中に及んでいる今、瞬時の判断力と行動力に結びつけられるよう我々は防災についての知識と意識を高める必要があります。そして、個人として、企業 として、また、地域社会としてどのように取り組んでいくべきかを考え、行動していくことが、今回の震災で失われた尊い命を無駄にしないことに繋がります。

 

次世代の育成 ~豊かな絆と豊かな夢・希望~

東日本大震災後、日本中で「絆」という言葉を多く耳にするなか、最も身近でかけがえの ない家族との絆、とりわけ親と子の絆の重要性が謳われています。親と子を取り巻く環境は、少子化、核家族化や女性の社会進出などに伴って大きく変化しています。かつて、愛情と尊敬に溢れた日本人親子の姿は、今、どのようになっているのでしょうか。いじめや不登校 といった子どもをめぐる問題が深刻化する中、学校に対して理不尽な要求をする「モンスター・ペアレント」の問題や親の児童虐待、家庭の教育力低下などが指摘され、現代の親の意識は絶賛された昔の日本人の親の意識と大きく隔たってきています。そんな親の環境で 育った子どもたちは、自分たちの親を尊敬することも出来ず、同じ問題を抱えながら後世に繋がれていくのです。
これらの由々しき問題を解決していく為に、親は子どもの成長を喜ぶ気持ちを深め、 豊かな親心を育むことが必要とされています。親は率先して模範的な行動をとり、子どもの規範意識の高揚と家庭の教育力向上に努めると共に、子どもとふれあい、一緒に学びあうことで、お互いを理解しあう素晴らしい親子の絆を築くことも求められています。そして、この親子の絆が、やがては地域全体に広がり、地域の子どもは地域全体で見守り、育てて いくという活動に繋がっていくことでしょう。

豊田市には世界屈指のサッカースタジアムである「豊田スタジアム」や、体操の国際大会が開催される「スカイホール豊田」など全国に誇るスポーツ施設が充実し、数多くの国際スポーツイベントが開催されています。また、地元の企業や大学、そしてクラブチームなど全国トップレベルのチーム、そして個人アスリートが存在するなど、スポーツ環境の面では ハード、ソフトの両面において大変恵まれた地域であります。近年、スポーツが国民にとっ て身近なものになるにつれて、その社会的な役割がますます注目されるようになってきました。子どもたちの健全な育成のほか、仲間との絆、人に対する思いやりなど、スポーツを通じて学べることが数多く存在します。そして何よりも未来ある子どもたちに大きな夢と希望を与えることが出来ます。今回の大震災においても、トップアスリートのプレーや言葉は被災地の方々、特に子どもたちに大きな勇気と希望を与えました。スポーツの振興は次世代育成と地域の活性化のために必要不可欠なのであります。
この豊田市が有する豊富なスポーツ資源を有効活用し、子どもたちが気軽にスポーツを楽しむことができる環境づくりと、地域のトップチームやトップアスリートとの交流を通じて、仲間との絆、そして大きな夢と希望をもてるスポーツを活かした次世代育成を進めて参ります。

 

地域ブランドの構築 〜豊かな環境と豊かな資源


  豊田市は2009年1月に国が推進する「環境モデル都市」に全国にある13都市のひとつとして選定されました。市全体の二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに30%削減する目標を掲げるなど低炭素社会構築に向けた取組みを本格化してきており、環境対応車や太陽光発電設備の購入補助金制度を行うほか、高度道路交通システム(ITS)の実証実験にも取り組んでいます。次世代エネルギー・社会システム実証地域のプロジェクトには地元企業が参画し、世界に誇る環境先進都市実現にむけた取組みは着実に進んできています。しかし、こうした先進的な企業の環境技術の導入や行政の環境政策の一方で、我々市民の環境への関心は十分には向上しておらず、エコファミリー制度など市民の環境意識向上を目的とした制度は、まだまだ市民に浸透しているとは言えません。
我々はその問題を解決すべく、市民の環境に対する意識変革の実現をめざし、様々な仕組みを構築していくとともに、青年会議所の全国ネットワークを活かし、全国にある環境モデル都市の青年会議所との連携を図り、情報交換を行いながら、将来の環境立国日本を牽引する環境先進都市豊田市をめざして参ります。世界に誇る自動車産業と恵まれた自然環 境を持つ豊田市にとって、市民の環境意識の向上と行動の促進がなされていけば、経済と環境、そして社会が調和する市民が世界に誇れる環境先進都市ブランドを構築できることで しょう。

東京など首都圏への財産の集中が進む一方で、地方では人口が減少し、地域の過疎化、 高齢化が急速に進み、疲弊し続ける地域も見られます。この豊田市も将来そのような危機に直面する可能性もあります。このような地域の疲弊を防ぐ為、全国で地域ブランドへの取組みが本格化されてきており、百貨店やスーパーの店頭では地域名を冠した商品が立ち並び、 地域の老舗の銘品を求め遠方から人が押し寄せ、店頭には長蛇の列が出来ています。地域ブランドという言葉が多様な意味で使われている中、大切なことは自然や歴史、伝統などの 地域性を最大限に活用し、地域と整合性のあるブランド化を進めていくことであります。 この豊田市にも、伝統工芸、食文化、芸能など豊田市固有の知的財産が数多く存在しており、我々はその資源を再認識し、活用することで地域ブランドを構築し、後世に残していかなければなりません。
地域の魅力を付加価値にした地域特有の商品やサービスをつくり、地域そのものの評価を高めていくことができれば、この豊田市の活性化が進み、更なるまちの繁栄に繋がっていきます。

 

会員資質向上と会員交流 豊かな資質と豊かなネットワーク〜

会員拡大の一方で、会員の資質も求められており、数をとるのか質を取るのかという議論はこれまでも幾度となく交わされてきました。AかBかのどちらかを選択し、両方を手に入れることは出来ないというのは、現実的な考え方でありますが、会員拡大については二者択一を拒否し、ORではなくANDの可能性を追及していきます。
その為、集った人材の資質をどう向上させていくか、これがもう一つ重要な課題です。入会した会員に青年会議所の理念や活動を理解してもらうと同時に、「どうしたら自分たちが目指す理念を実現できるか」を常に意識させることが大切です。そう意識させることで会員の考えや行動が具体的かつ創造的になります。その後、理念が実現に一歩でも近づき、成果が生まれ、地域から評価をされるようになれば、会員の喜びとなり、そして何よりも大きな自信を得ることが出来ます。このようなサイクルが青年会議所内に浸透をしていけば、会員は青年会議所に、より一層の誇りを持つようになり、自らを律し行動のできる地域の リーダーが育成されていくはずです。

20歳から40歳の青年が同じ目標のために集結し、運動を展開していく中で、会員同士の連携が必要とされ、その連携を通じて友情は育まれていきます。その友情こそが、まちづくり運動の原動力となり、会員にとっても一生の財産となるのです。その為、我々は会員 相互の啓発と交流を積極的に図り、会員同士の関係を深め、活気ある組織、団結力ある組織をめざして参ります。
LOM以外にも、我々には様々なネットワークが存在しています。日本 JC や全国の各地青年会議所の仲間とも、出向や各種大会などを通じて交流を図り、他の地域の仲間や事業を知ることで、我々の活動もより進化を遂げていくでしょう。また我々にはこれまで歴史を築いてこられた600名におよぶ諸先輩方がみえ、JC 卒業後も各方面で多大なる活躍をされておりま す。そんな誇れる多くの先輩たちとの交流を図り、アドバイスを頂きながら活動を進めて参ります。このように豊かなネットワークの中で、JC 活動を通じて築き上げた友情、そして絆を活かし、まちづくり運動を進めて参ります。

 

会員拡大 〜豊かな人財

我々の目的である「明るい豊かなまちづくり」を進めていく中で、活動の推進力そして地域への発信力という面で会員拡大は必要不可欠なものであります。昨今の企業を取りまく厳しい経済状況の中、会員減少の問題を全国の青年会議所が抱え、その深刻さは年々増してきております。しかし、会員数減少の要因は単に厳しい経済環境だけではなく、我々が地域社会に対して存在意義と価値を十分に示すことができていないことも大きな要因であります。青年会議所の理念実現に向け、我々が具体的な行動を起こし、成果を生み、地域に我々の存在意義を示していくことこそが会員の拡大に繋がっていくと考えます。また、一昨年から導入した会員拡大システムも着実に成果が表れてきています。本年度もこのシステムを発展 的に継続させ、会員一人ひとりが拡大の重要性を認識し、危機感を持ちながらLOMが一丸となって拡大活動を進めて参ります。
会員数の増大は我々JCの存在意義を示すバロメーターであり、それが JC の実力であります。我々は企業経営者の方々や地域の人々が入会したい、入会させたいと思っていただけるような誇り高き団体であり続けます。

 

情報発信と組織運営

青年会議所の運動を、まちに、そして市民に根付かせていく為には、有効的な情報の発信が必要とされます。有効的な情報の発信とは、誰に、何を、どのようにして伝えて、どうしてほしいのか、これらを明確にすることが大切なのです。事業の意義、目的を一方的に発信するのではなく、相手と同じ目線で分かりやすく伝えることで、多くの方々に JC に 対する理解を深めて頂くことが出来、協力も得ることが出来るはずです。
また、市民や会員からの情報も収集し、事業の成果、問題点なども会員同士が共有できるように努めます。そして、様々なマスメディアとの有効な関係を構築し、時代に即した情報媒体を活用しながら、一人でも多くの方々に活動を理解して頂けるよう広報活動を進めて参ります。
2008年12月に施行された公益法人制度改革に伴い、2013年11月末までに一般社団法人格もしくは公益社団法人格のどちらかの取得をしなければなりません。我々はこれまで公益法人制度改革に関わる様々な視点から調査研究を行い、我々社団法人豊田青年会議所が置か れた現状と、取得後の影響を考えながら検討を重ねて参りました。その結果、2011年8月の総会において一般社団法人格取得をめざしていくことを決定いたしました。
我々にとって公益性を意識して運動を進めていくことは大変重要でありますが、公益認定 の基準や規制に捉われるのではなく、青年会議所運動の本質を見失わずに、我々の活動をもっと地域に認めてもらうことが先決であると考えました。まずは、一般社団法人格を確実に取得できるよう準備をし、将来的な公益社団法人格の取得も視野に入れ、組織の基盤を固めていきます。

 

結びに 〜ビジョナリーJCに向けて〜

長引く景気低迷や政治不信などに加え、東日本大震災における原子力発電所事故と、日本は多くの問題を抱え、世の中に多くの不安がたちこめています。この事態にこそ、我々は青年会議所の使命をしっかりと押さえ、ぶれないビジョンを持ち、情熱を持って、やるべきことを積極的に実行していく必要があります。
自社の役割を見失わず、ぶれない経営を実践し、100年以上生き残っている企業が世界には数多く存在します。それらの企業は「ビジョナリーカンパニー」と呼ばれています。世の中の環境が刻々と変化をしていく中、決して変えてはならないもの、思い切って変えていくものを明確に区別して生き残ってきた企業であります。優良な企業や組織にはコアとなるもの をしっかりと守る頑固さと、変化を果敢におこしていく柔軟性があります。我々青年会議所は変えてはならないもの、すなわち理念と使命をまもり、実践の方法についてはあらゆる視点から学び、積極的に取り入れ、地域に変革を起こしていかなければなりません。我々は「ビジョナリーJC」として、地域にとって「必要な存在」、「なくなると困る存在」であるよう、今後50年、100年と永続的に成長を続けていきます。

 

基本方針

1. 地域の抱える問題やニーズの本質を知り、調査研究を行い、ただ語るだけでなく行動をもって解決に努める。
2. 諸活動について、継続に向けた検証を確実かつ有効に行い、その活動と精神を地域に根付かせる。
3. 諸活動の成果は青年会議所が決めるものではなく、地域社会が決めるということを十分に自覚する。
4. よりよい社会の構築の為に行政、企業、他団体とのパートナーシップを構築し、相手にとっても最適なパートナーとなれるように努める。

社団法人豊田青年会議所

住所 〒471-0034
愛知県豊田市小坂本町1-25
豊田商工会議所会館4F

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電話番号 0565-32-5777

FAX番号 0565-35-2021

Eメール info@toyotajc.jp

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