一般社団法人豊田青年会議所

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理事長所信

2020年度理事長所信

一般社団法人豊田青年会議所

第61代理事長 池田靖典

 

~至誠を貫く~

 

全ては感謝の想いからはじまる。

我々は誰かに生かされていることを知らなければならない。家族、会社の仲間、地域の人々、今まで関わってくれた全ての人々がいるからこそ自分がある。その感謝の想いを忘れずに、思いやりをもち、真心を込めて誠を尽くし、どこまでも貫き、途中でやめることさえしなければ、必ず人々の心に響き、どんな困難なことでも成し遂げることができるのである。誰でも世の中でさえも変えていくことができるのである。至誠を貫くことが我々に与えられた使命であり、人生を躍動させる原動力なのである。

 

 

【はじめに】

 

令和時代の幕が明けた今、我々は一体何を成し遂げるべきなのでしょうか。日本の歴史を振り返ると、危機的な状況に何度も直面してきました。大東亜戦争終戦後、奇跡と称された高度経済成長を遂げ、GDP世界第2位の経済大国にまで昇りつめた一方、多くの社会問題が発生した昭和の時代。平和達成という祈りを込めて名付けられた平成の世に入ってからも、バブル経済の崩壊と「失われた20年」、そしてリーマンショック、さらには東日本大震災など、数多の国難が日本を襲いました。しかしそのたびに日本人は逆境を跳ね返し、さらに強靭な国へと発展してきました。令和時代に入った今でも問題は山積しています。我々は、先行きが不透明な今だからこそ、現実を把握し、これに真摯に向き合い、今までの常識に囚われず、大きな目標を掲げ、決して諦めない強い心をもって、激動の時代において次代を切り拓いていかなくてはならないのです。

 

【未来の豊田のために】

 

豊田市は、持続可能な開発目標達成に向けた取組を先導的に進めていく自治体「SDGs未来都市」として2018年6月15日、内閣府より選定されました。また(公社)日本青年会議所は、中小企業への普及・啓発活動を推進するため、政府のSDGs政策を先導する外務省と2019年1月、「SDGs推進におけるタイアップ宣言」に署名しました。SDGsは、今や豊田市に限らずあらゆる企業が取り組むべき目標として認知されつつあります。しかし企業へのSDGsの浸透は限定的であり、取り組む必要性は理解しているものの具体的な取り組みをしている企業は限られているという現状があります。我々が率先してSDGsの意義を学び、地域企業として、社会問題の解決と利益追求を両立するための最も有効的な仕組みを構築し、地域に発信することが、誰一人取り残されない、誰もが自分らしく生きられるまちを創造することにつながると確信しています。

日本の国土面積は全世界の陸地の約400分の1でありますが、全世界の地震の約10分の1は日本で発生し、さらにM6以上の巨大地震の約5分の1がここ日本で発生しています。政府の地震調査研究推進本部は南海トラフ地震が30年以内に70%以上の確率で発生すると予測しています。愛知県の被害予測調査では、南海トラフ地震により県内の約73,000棟の建物が全壊・焼失、約284,000棟の建物が半壊するとされており、ここ豊田市は甚大な被害が懸念される地震防災対策強化地域に指定されています。豊田市民の生命・財産が守られ、安心・安全に暮らせるまちを実現するためには、我々自身が災害時を見据えたインフラ整備の必要性を理解し、地域にその必要性を発信する必要があります。また災害による被害を最小限に抑えるための「減災」という視点をもち、家族や地域を守るために、防災に対する高い意識と深い知識をもつことにより、住み続けられるまち豊田を創造してまいります。

 

 

【生き抜く力をもった次世代の育成】

 

グローバル化や情報通信技術の発展など、社会の急激な変化の中で、子どもたちには、無数にある選択肢から自分の意志で進むべき道を決断し、自身の発想力と行動力で課題を解決していく「生き抜く力」をもつことが求められています。しかしながらインターネットで得た知識や情報が先走り、行動が伴わない子どもが増加しており、それは例えば子ども会やジュニアクラブへの参加減少などに顕れており、子どもが地域との関わりをもつ機会の減少にもつながっています。これからの未来を創る子どもたちには、発想力の基礎となるインパクトのある原体験をしていただき、経験しなければ得ることのできないことがあるということを肌で感じ、今までもち合わせていなかった「経験」によって知恵を身につけることで豊かな人間性を育んでまいります。

選挙権が18歳以上に認められるようになってから3年が経ちました。豊田市の10代の投票率は全国的にみれば高い結果を出しています。しかし、自身の投票行動が地域の将来を、ひいては国の将来をも選択しているという事実を認識している若年層はどれだけいるのでしょうか。2022年より成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることになっています。若者たちがさらに活躍できる社会を形成できる反面、社会における責任は重くなっていく今だからこそ、当事者意識を育む主権者教育を確立しなければなりません。若者にどのような政策がまちや国全体をより良くすることができるかという問題意識や、政治に対する関心をもっていただくことで、政治参画への意識を高めていく仕組みを構築してまいります。

 

 

【人々が自然と集う人財の育成】

 

我々JAYCEEは本業を全うしながら社会貢献に全力を尽くすという生き方を自らの意志で選んできました。しかし「明るい豊かな社会」の実現という本来の目的を忘れ、自己満足の活動に陥っていることはないでしょうか。我々青年がより力強く地域を牽引する人財足り得るためには、自らが社会を変えていくという当事者意識をもち、そのために高い壁を設定し、乗り越えていく強い心をもつ必要があります。またワーク・ライフ・バランスや、ダイバーシティを理解し、時代の流れに沿い、常に新しいリーダーを輩出し続けることが、地域社会に対する使命でもあります。

我々は地域の経済を支え、発展させる使命を持った青年経済人であります。「明るい豊かな社会」の実現のため、まちの発展を支える多くの青年経済人を輩出し続けられる組織であれば、必ず多くの人の共感を呼び、会員の拡大につながると確信しています。そのためには会員数を増やすことだけを目標とせず、社会により良い変化を起こすことができる心と行動力の伴った人財の拡大に力を入れてまいります。また多様性ある社会の実現のために、女性会員の拡大に力を入れてまいります。少子高齢化により労働力人口が減少する中、男性とは違う視点や感性をもつ女性リーダーの育成は(一社)豊田青年会議所の持続的な発展のためには必要不可欠です。女性リーダーを輩出することで地域に女性活躍の輪が拡がります。我々の会員拡大活動により、組織は活性化され、まちの発展へとつなげてまいります。

 

 

【広報戦略と強固な組織がブランドを確立する】

 

(一社)豊田青年会議所は59年間の歴史の中で、組織のブランドを確立するために、力強く情報を発信し続けてきました。しかしSNSの普及により、情報の海と化している現代ではインターネットの世界に埋没してしまうことは必定です。市民を動かせない情報発信は単なる自己満足でしかありません。このような時代だからこそ受け手の心の琴線に触れる情報を届ける広報戦略が必要であります。個人の発信から社会を動かせた人々がいるという事実もあります。地域にインパクトを与える発信は多くの人々の共感を呼び、社会を動かすことができます。我々にできない理由はありません。豊田市がもつ資源を活用すること、あらゆるツールを駆使することで、画一的な発信ではなく、今までとは違う結果が期待できる発信を仕掛けてまいります。

人と人とのつながりは新しい視点を生み出し、組織と地域を活性化させます。だとするならば豊田のまちの発展を想い運動発信を続ける(一社)豊田青年会議所の会員相互の交流が活発に行われ、お互いのことを同志として深く知り合えるための仕組み作りは必要不可欠です。さらに、家族や先輩諸氏、関係諸団体とのつながりにまで波及できる交流の仕組みを確立することができれば、会員がより運動に邁進しやすくなり、組織力は向上します。最も効果的に、最大限の運動の成果をあげるための会員交流の仕組みを構築してまいります。

 

 

 【より盤石な組織を目指して】

 

我々の運動を力強く発信する重要な要素として盤石な組織運営があります。盤石な組織とは、運動と会員を支え、その効果と成長を最大化する組織であります。定款・規定に準拠した運営を行い、健全な財務体制の確立とコンプライアンスの徹底を図り、連綿と積み上げられてきた(一社)豊田青年会議所の信頼を維持し、伝統を守りながらも、時代の変化に応じた改正も視野に入れることで、柔軟かつ芯のある、しなやかな組織に進化してまいります。

 

 

【ビジョン達成と(一社)豊田青年会議所60周年に向けて】

 

「LOVE RAPPORT TOYOTA CITY~人が輝き、魅力あふれるまちへ~」は2016年度に掲げられた中期ビジョンであります。我々は一人ひとりの人が輝くまちを創造する仕組みを構築してまいりました。本年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。世界にポジティブな改革をもたらす大会として日本が注目され躍動する好機の中で、我々(一社)豊田青年会議所メンバーは先輩諸氏の創りあげた歴史と伝統に感謝の意を表すとともに、青年の英知と勇気と情熱をさらに結集し、ビジョン達成に向けて加速してまいります。創始より紡がれてきた想いに誇りをもち、次なる指針の基軸になるべく、笑顔あふれるまちとよたを構築し次代へと紡いでまいります。

 

 

【結びに】

 

問題のない、悩みのない人生はありません。人生とは問題を引き受け、悩みを乗り越え続けていくことであります。問題、悩み、苦しみは、人間を成長させるために出てくるのです。我々は目の前の壁や、苦難にすら感謝の気持ちをもって向き合わなくてはなりません。その問題から逃げずに、できないことをできるようにしていくことで人間力が備わり、成長できるのです。成功、失敗の分かれ目は、いま自分のもっている力を出し尽くしてみたが、何ともならないときに、もう万策尽きたと諦めるか否かです。何事かを成し遂げる人は絶対に諦めません。そこからが本当のはじまりなのです。何かを成し得る人はそこで諦めずにやり続ける人であります。感謝の気持ちをもち、人のために生き、そのために諦めずに問題に取組み、本当にやりたかったことを実現していく。自分のためではなく、家族、会社の仲間、地域の人々、今まで関わってくれた全ての人々のために真心を込めて誠を尽くすことができる人、そして組織が豊田のまちの発展に寄与していけるのだと確信しております。新しい時代における豊田市がさらに発展し続けていくため、豊田市の魅力を一層輝かせ、笑顔があふれるまちにするために至誠を貫いてまいります。