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一般社団法人豊田青年会議所
第57代理事長
松本 章

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~ビジョン&スタート~

 まちは近代化を終え、都市は成熟し、まるで生態系のような、複雑で精緻な背景を要求している。画一的な都市化は時代遅れである。歴史と文化が異なるそれぞれのまちの融合を、目に見えるものとしてイメージしていかなくてはならない。個人も企業も同じである。明確なビジョン、それがスタートを支える。

ある少年が将来の夢を聞かれてこう言った。
「私の夢は豊田市長になることです。」

 環境先進都市である豊田市は、自動車産業を中心としたまちであるのにも関わらず、まちの中心部には車の往来が無い。そこには、安全で安心な遊び場が多くあり、親子の笑い声がいつも聞こえる。ものづくりの城下町として更に進化したおかげで交通事故も無くなった。農山村部を見渡せば、豊かな水と広大な緑が広がっている。地域の伝統や文化は若者に受け継がれ、新たな価値を生んだ。高齢者も若者との交流で元気だ。
 豊田市をこんなワクワクするまちにしたいと少年は言う。

我々は少年の描くこのまちの夢を未来への約束として活動をスタートさせる。

LOVE RAPPORT TOYOTA CITY
~人が輝き、魅力あふれるまちへ~

 これを、これからの5年間の中期ビジョンとして掲げさせていただく。我々が住み暮らすこの豊田市を人が輝き、魅力あふれるまちへとするために青年の英知と勇気と情熱を更に結集し加速させる。「誇りあるこころの醸成」、「力強い次世代の育成」、「安全・安心なまちの創造」を活動の根幹とし、時代と環境に即したまちづくり運動を展開していく。

基本理念「人とまちの笑顔を創造し、豊田をピースに!」

 中期ビジョンに向けての考え方の根幹である。「ピース」とは平和、安全、安心、親愛、安らぎ、喜びなどを意味する。(一社)豊田青年会議所がもたらす市民意識変革運動により、豊田市中に平和や安心、喜びがもたらされ、そこにいる全ての人を幸せにしたい。人が幸せな状態の時、きっと素敵な笑顔がそこにはある。そして、まちが幸せな状態の時は、より多くの素敵な笑顔が咲き乱れている。よって、「人を、まちを、笑顔にするにはどうしたらいいか?」という考え方を指針として行動していく。

~未来の笑顔を創造する~

 1961年5月31日、志高き青年たちによって豊田青年会議所は誕生した。「明るい
豊かな社会」の創造という崇高な理念のもとに運動発信を続け、本年2016年度には創立55周年を迎える。脈々と受け継がれてきた、その理念と決意による運動は確実にこの
豊田市に変革をもたらし続けている。
 この歴史と伝統ある(一社)豊田青年会議所が、今もなお地域に根差した活動をして
いけることに対し、先輩諸氏を始め、ご協力いただいている行政、関係諸団体、全ての皆様に心からの敬意と感謝を申し上げたい。
我々はこの節目を好機とし、混沌とする社会を未知の可能性と捉え、青年会議所の真価を発揮する。時代を切り拓くのは青年の使命である。


~こころの笑顔を創造する~

 世界を舞台にして活躍する機会が増えた日本スポーツ界。試合になると、「ニッポン、
ニッポン」と日本中が声を合わせ、心を一つにして応援する。勝利をすれば飛び上がって
歓声を上げ、負けた時は抱き合って涙する。我々が日本人であると強く意識するのはこんな時である。では、他にどんな時に我々が日本人であるということを意識するか考えても
なかなか思い浮かばない。
 戦後70年。日本は戦争を身近に感じることもなく過ごしてきた。その中で、多くの国民は物質的、あるいは金銭的欲求に捉われてしまい、その影響で日本の誇りである「こころ」
を忘れてしまった。悔しくも、東日本大震災は忘れつつあったその「こころ」の存在を思い
出させてくれた。しかし、発災からもうすぐ5年が経つ今どうであろうか。時間の経過と
共に記憶と「こころ」が風化されている。
 地震や津波に見られる自然災害、日本の安全保障問題、日本経済の再興。これら日本を
取り巻く諸問題の解決策の根底にあるのは、日本の誇りである「こころ」であることを
忘れてはいけない。日本の明るい未来のために、「こころ」の笑顔を創造する。


~まちの笑顔を創造する~

 青年会議所活動と企業活動に通じているものは「価値の提供」である。新しい価値を創出し、誰に、どこで、どうやって提供するかでその価値が決まる。ここで必要になってくる
のは「マーケティング」という概念である。それは、「顧客が真に求める商品やサービスを
作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得られるようにする活動」の全てを表す概念である。新しい価値を創出しても、提供する相手や場所、方法などを間違えればその
価値は低くなる。価値の強みは何かを見極め、戦略的に考え、環境に応じた戦術を自在に
組み合わせることができる組織や企業になれば、どんな環境においても確実に成長を
遂げることが可能になる。組織と企業の成長によって地域の活性化を促し、まちの笑顔を
創造する。

 日本政府が推し進めている少子化対策と地域の活性化などの地方創生は今後の日本の
最重要課題である。豊田市においては、財政力は豊かである一方、消滅可能性がある地域が存在しているのも事実である。地域が自らの知恵と資源を活かした地域経営を今こそ確立させる時である。この動きは行政だけではなく、産官学民連携による運動が不可欠である。
そう、言うなれば地方創生の鍵を握るのは青年会議所であると言える。我々が持つ
ネットワークを活かし、それぞれが持つ強みを繋ぎ、地域一体となってまちの笑顔を創造
する。
 豊田市は県下最大の面積を有し、市域面積の約70%が山林で産業と自然が融合されて
いるまちである。この日本の縮図ともいえるまちで地方創生の豊田市モデルを生みだし、
「豊田市発日本」を発信する。まちの笑顔から日本の笑顔に繋げる。


~次代の笑顔を創造する~

 小学生から中高生になると自分の将来の「夢」を言える子どもの数が少なくなってきて
いるという統計がある。この原因の一つは日本の偏差値偏重教育の弊害からくるもので
あると考えられる。
 「夢」とは、人生に元気や勇気を与えてくれるものである。人間は「夢」を持ち、日頃の生活のなかで意識することが大切である。なぜなら、将来の夢を意識することにより、潜在
意識が働き、その夢に向かって自分や周囲の環境が勝手に動き始めるからである。将来の夢というものは、考えているだけで楽しい。ウキウキしてきて、自ずと心が明るくなってくる。「夢」を持つことが人生を豊かにしてくれる。
 この人生を豊かにする「夢」を「人」から「まち」に視点を変えて考えてみる。「まち」
の「夢」とは何なのか。それは、大人と子どもが笑顔で生活すること。そして、そこに存在する企業は人との繋がりによって共存共栄することである。地域の子どもたちの「夢」を
地域の大人たちが育むことにより人と地域と企業が繋がり、笑顔溢れる地域を創造する。

 日本は2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が決定した。
もたらす効果は日本経済全体に波及するとも言われ、震災被災地の復興や諸外国との外交
問題など日本を取り巻く問題解決の起爆剤としても期待されている。この大会では経済
効果だけでは無く、スポーツの持つ魅力にも期待したい。スポーツは人間に夢と希望を
与えてくれる。それは、競技する当事者だけでなく、観客を含め関わる全ての人に与えて
くれるものであるから全世界の人々が魅了させられるのだろう。
 この豊田市では2019年ラグビーワールドカップ開催が決定している。この機会を
絶好のチャンスと捉え、スポーツの魅力による地域の活性化と次世代育成を進めて
いきたい。2012年度から継続開催しているタグラグビー大会「JCフレンドリーカップ」を更に地域に根付いたまちづくり活動へと昇華させ、スポーツによる笑顔を創造する。


~会員の笑顔を創造する~

 どんな組織でも適切な人を得て発展していくものである。
 いかに立派な歴史、伝統を持つ組織でも、それを正しく受け継ぐ人を得なければ徐々に
衰退していく。組織の運営や手法はもちろん大切であるが、それを活かすのはやはり人で
ある。どんなに優れた組織ができたとしても、それを活かす人を得なければ、成果も
上がらない。結果、我々の使命を果たしていくこともできない。
 組織が社会に貢献しつつ、自らも隆々と発展していけるかどうかは人のみにある。

 会員の質と量について問われることがあるが、結論から言うと両者をバランス良く
求めていきたい。量の増加に関しては推進力を強化することに繋がる。また、先にも述べたように素晴らしい組織であってもそれを引き継ぐ上で人を増やしていく必要がある。
そこで、2010年度から運用している会員拡大システムを今一度見直し、時代に即した
ツールを開発すると共に会員拡大の風土造りを改めて進めていきたい。質に関しては量の
受け皿を整えることが重要となる。手法や手段ばかりでなく青年会議所活動の理念と情熱を醸成する教育体制が必要である。両者の片方が突出するのではなく、バランス良く増強
することが、笑顔溢れる人財へと繋がっていく。

 まちづくり運動を強く展開し、自らも隆々と活動していくためには仲間の存在が不可欠である。偶然の連続から必然的に出会った大切な同志なのだから、共に魂を磨き、友情を
育み、仲間になろう。一人でも多くの同志が仲間になることで我々の運動は強く、輝くものになる。また、年齢の限りのある青年会議所という魅力的なカードを使い、その可能性を
体感して欲しい。会員同士はもちろんのこと、先輩諸氏、行政、関係諸団体の方々とも強い繋がりを築きたい。外を見渡せば世界まで広がっている。


~組織の笑顔を創造する~

 運動発信を強く、円滑に展開するためには、言うまでもなく組織運営が鍵となる。
いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも
取り入れていくこと。また、新味を求めて変化を重ねていく流行性こそが不易の本質である。この不易流行の考え方が重要となる。

 (一社)豊田青年会議所には半世紀以上にもなる組織の基盤がある。これまで継続して
活動できたのは、この組織が地域から信頼を得続けているからである。この信頼が財産で
あり、「明るい豊かな社会」の創造に繋がっていることを忘れてはならない。新たな信頼を
得ていくためには、物事の核心を追及し、影響する相手を考えることである。本質を
見失わず、時流に即した進化をしていかなくてはならない。

 また、青年会議所の運動発信力を高めるためには広報を有効活用する手段がある。
むやみに発信するのではなく、目的に応じて誰に、何を、どうやって伝えるかが重要である。更に効果を高めるには、組織自体のブランドも向上させなければならない。ブランドとは
「らしさ」である。それは、これまで発してきた行動や言動から自ずと付くものである。
そして、不思議なまでに、誰もが同じような見方をしている。その「らしさ」がポジティブなものであれば「ブランド」と呼ばれ、ネガティブなものであれば「レッテル」と呼ばれてしまう。「らしさ」は組織の「一貫性」から生まれる。この「らしさ」を向上させることで
ファンを増やし発信力に繋げていく。


~原動力~

この言葉には漲る力を感じる。
この言葉には夢と勇気の存在を感じる。
この言葉には出会いと感動の予感を感じる。


 目まぐるしく変わる社会環境の中、不安を叫ばれる将来に向けて力強いリーダーが
求められている。「明るい豊かな社会」の創造を目指す我々青年会議所は、求められる
リーダーに成るべく、その要素を向上させ根幹となる原動力を培う必要がある。
 現代に求められるリーダーの要素とは何か。まずは「信頼」である。リーダーの定義の
一つは従うものがいることである。「信頼」がない限り従うものはいない。そして、「自信」「決断力」「コミュニケーション力」など多くの要素が必要である。ここで気付かされる
ことは、各要素に共通するものは全て「人」に関わるものであるということである。「人」
から「信頼」され、「人」から「自信」がもたらされ、「人」に「決断」を求められ、「人」
との繋がりによって「コミュニケーション力」が育まれる。言うなれば、「人は人によって
のみ影響を受け開花される」ということである。
 この青年会議所という人間道場には、文字通り人間同士の共鳴から生まれる成長の機会が沢山転がっている。しかし、それは与えられるものではなく、自ら掴みにいくものである。
挑戦しないことが失敗である。やれない理由を並べるので無く、「どうやったらできるか?」という「PositiveThinking」で全ての物事を捉えていきたい。そう、我々には青年の特権でもある英知と勇気と情熱があるのだから。

 準備は整った。己と組織の明確なビジョンを持ち、培った原動力を躍動力に変え、さあ、スタートしよう。


行動指針 ~3つの「き」~

○気付き
 猛烈な好奇心を持って行動しよう。調査研究を行い、問題や価値の核心はどこにあるのかに気付くことが重要である。

○刺激
 気付きからの発想を実践し、人とまちに刺激を与えよう。また、自らも刺激を求めることで大きな刺激へと変化する。

○元気
 刺激を与えることによって人とまちを元気にしよう。そして何よりも自らが元気に行動することが大切である。