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理事長所信

『世界を動かさんと欲するものは、まず自ら動くべし』 ソクラテス

青年会議所運動がもたらすものは何でしょうか。それは、若い青年の英知と勇気と情熱によって沸き起こる地域における市民意識の変革であり、その市民意識の変革の波が我々の目指す「明るい豊かな社会」の実現、そして「世界平和」へと結びついていくことです。

世界の未来を日本がつくる。

そのムーブメントを起こすのは私たち国民であり、地域から発信されねばなりません。自らの取り組みが世界につながることを意識し、会員一人ひとりが気概をもって地域の課題に向き合い、先人より脈々と受け継がれてきたこの運動を青年らしい情熱によって力強く展開してまいります。

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一般社団法人豊田青年会議所
第55代理事長
横山栄介

~はじめに~

戦後、経済成長を国家の目標として明確に掲げた勤勉な日本国民は、他国には真似することの出来ない類まれな経済発展を成し遂げました。日米同盟という安全保障の基盤のもと、経済において大きな力を持ち、世界に影響を与える国にまで成長しました。しかし、バブル経済の破たんに加えリーマンショックというグローバルな経済危機により失われた20年を未だに引きずっています。日本が低迷を続ける中、豊富な資源・人口・国土を有する新興国の台頭により、経済・軍事・外交の面で世界のパワーバランスは大きく変わろうとしています。日本という国が、国民レベルで国家としての岐路を考えねばならないまさにその時を迎えているのではないでしょうか。今、日本に求められるもの、それは日本人としてのアイデンティティーを持ち、「愛」をもって未来を切り拓くことの出来る日本人を育成し、たくましい国日本を次世代へ引き継いでいくことではないでしょうか。

『国が何をしてくれるかではなく、自分が国に何ができるかを考えなさい』

第35代アメリカ大統領 ジョン・F・ケネディ



 危機意識を持ち、その危機を乗り越えようとする強い意志が無ければ、それ以上の発展はなく衰退の一途をたどるしかありません。政権交代により「日本」そのものに国民の意識が向き始めている今だからこそ、日本の未来を常に考えてきた青年会議所が先頭を切って、日本のピンチをチャンスに変えるムーブメントを豊田市から起こしていかねばなりません。

では、何故豊田市からムーブメントを起こすのでしょうか。それは、豊田市が産業上も地政学上もバランスのとれた日本の縮図であるからです。私たち市民が豊田市の課題を取り上げ、そして解決への道しるべとする行動は、そのまま日本全国の地域へとつなぎ合わせることが可能なのです。豊田市の様々な資源を融合、つなぎあわせることは、市民にとって多くの魅力を生みだすことにつながります。それは自ら豊田市の良さを語れる市民=豊田市を愛する市民を一人でも多く生み出すことにつながります。その豊田市を愛する市民が語るまちの魅力が全国へと波及される。そんな魅力的な豊田市を目指して活動してまいります。



<愛する日本の素晴らしさを発信するには>

国民の多くは自国に対する誇りを抱いているでしょうか。愛国心というのは、いつから薄れてきてしまったのでしょうか。私たちが日本人であることに誇りを持つには、まずそこに住む土地、人、伝統を愛することから始まると思います。自然豊かな環境の中で、万世一系の天皇を象徴とする日本に日本人として暮らす素晴らしさを自覚するところからだと考えます。

東日本大震災での発災時、世界から称賛された利他の精神・道徳心、つまり「他人を思いやり」「規律を守り」そして「ひたむきに行動する」という日本人の特性は、まさに過去から脈々と受け継がれてきた日本・日本人の素晴らしさそのものです。その脈々と流れる特性が何故育まれたかについて、国家観と歴史観を学びながら理解しなければなりません。その理解が自国への愛へとつながっていくのです。自国への誇りを持ち、自国の素晴らしさを発信出来る、日本を心から愛する日本人の育成に取り組みます。


<グローバルな視点で物事を考えられるには>

日本人は「阿吽の呼吸」で物事を進めることが出来ます。これは相手を思いやり、相手の立場に立って物事を考えられるという日本人特有の素晴らしい特性です。しかし、一旦グローバルな環境に置かれると、日本人同士で会話をするようにはうまく伝わらないことが多くあります。これは一例でありますが、日本人としての誇りを持ち、日本人としての長所を世界の舞台で活かすには、日本人の行動・思考が短所になる場合があることも知った上で長所を活かすことが大切です。

豊田市は海外との交流が盛んであるとともに外国人の居住者も非常に多い地域です。豊田市の特性を活かした外国人との交流は、異なる文化、歴史、考え方について私たちが直接学ぶ非常に良い機会となります。国籍や育った環境は違えども、一人の人として互いに尊重し、理解し合い、認め合う意識を持てば、国を超えた相互理解をすることが出来るのです。愛を持って互いの理解を深める意識を持ち、世界との距離を無くし、日本人の特性を認識した上でグローバルに物事を考えられる日本人を育成します。


<都市と農山村がお互いに必要としあうには>

豊田市は旧七市町村の合併により都市部と農山村部をバランスよく持つまちへと生まれ変わりました。すなわち、豊田市が未来へと歩みを進めていくには、都市と農山村部のバランスのとれた成長が必要です。では、農山村部が持続的に発展していくために必要なものは何でしょうか。それは、農山村部に人が集まり、活気を取り戻すことに違いありません。言い換えれば、都市部が農山村部を巻き込んだ広域的な経済圏を確立することではないでしょうか。

活性化には色々な形がありますが、人口が増えるだけが活性化ではありません。一時的、定住的な交流だけではなく、常に人が集まる場所であることも非常に有効な交流の手段です。都市部の人が農山村部に集まり、憩いを感じる場所となり人が集まることで、農山村部が都市部の人にとって愛すべき居場所になるに違いありません。恒常的な多くの交流が生まれ、お互いがお互いを必要としあう素晴らしい地域を目指そうではありませんか。


<地域の魅力を創出し続ける>

豊田市の友好都市であるデトロイト市の財政破たんは、豊田市民に衝撃を少なからず与えたに違いありません。先行きの見えない時代の中で、グローバルな変化に対応出来なければ、企業だけでなく、大きな都市でも破たんの危険があるという危機感を私たちは持たねばなりません。永続的な豊田市の未来を作り出していくためには、一つの大きな魅力に頼ってばかりではなく、地域の資源をもとに一つでも多くの愛される地域の魅力を作り出していかなければなりません。

「おいでんグランプリ」を地域の魅力発生装置として発展させるために3年に渡り取り組んでまいりました。「市民と共に」「情熱」「ストーリー」というブランド化に必要な要素を常に意識し、これまで取り組んできた魅力を具体化し、その展開を推し進めるとともに、次なる魅力を生み出すパートナーシップの構築と仕組みづくりを行ってまいります。


<たくましい次世代を育てる>

「NHK中学生・高校生の生活と意識調査2012」によると、中学生・高校生の約90%が幸せだと感じているそうです。バブル崩壊後の失われた20年のなかで育ち、携帯電話やインターネットを日常的に使いこなすという、広いようで非常に狭い社会での生活がこのような調査結果に結び付いたと考えられます。幸福であると感じるということは非常に素晴らしいことではありますが、反面、そのまま大人として社会に飛び出してみると、グローバル社会を生き抜くというたくましさを失うことにならないでしょうか。

これからの日本が世界の中で確固たる地位を築いていくために必要な要素は何でしょうか。資源の無い日本でこれまで先人が築き上げられてきた成果は、まさに人の力以外の何物でもありません。その力の源は、どんな環境においても発揮される「生き抜く力」です。次世代を担う子どもたちが、たくましく大きな世界に飛び出すためにも、健全な身体を育み、そして夢を持ちその夢に向かって果敢に向き合う心を身につけるにはどうすればいいかを豊田市の特性を活かしながら追求してまいります。


<防災意識をまちづくりの中核に>

2011年3月11日の東日本大震災の発災から2年半以上が経過しました。震災は自然の猛威の恐ろしさを改めて私たちに植え付けたとともに、日本人の価値観や行動基準を変えるきっかけにもなりました。しかし、実際に被害を受けていない地域の防災意識は2年半前と同様に保たれているのでしょうか。

私たちの地域では、いつかは必ず来ると言われている東南海地震が待ち構えています。しかし、多くの地域で意識が全体的に低くなっていると同様に、いつ来るか分からない災害に対する市民の意識は必ずしも高いとは言えません。地域の人・団体・企業がネットワークを構築し、常に防災について考える土壌、そして有事の際には行動に移せる体制をいかに構築するかについて考えていかねばなりません。青年会議所のこれまでの取組を活かしながら、JCのネットワークを活かせる取組をしてまいります。


<新しい価値を生み出すには>

青年会議所活動においてもビジネスにおいても、我々が起こさねばならないものはなんでしょうか。それは、「イノベーション」つまり「それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすこと」です。地域においても、企業においても「イノベーション」を起こし、新たな価値を創出し、地域や顧客に認められることで、初めて組織・企業として存続し続けることが出来るのです。人が愛を感じるのと同じように、自らの価値は相手に受け入れられて初めて価値となります。自らの持つ特性や武器を理解し、相手の求めるものは何かを理解するところから始めねばなりません。

青年会議所だからこそ、中小企業だからこそ、「イノベーション」を意識し、リスクを取りながらも失敗を恐れずチャレンジすることでより大きな成果を生み出すことの出来る知識の習得とその実践を行ってまいります。


<JCは素晴らしい学び舎>

青年会議所は私たちに多くの成長の機会を与えてくれます。地域とのつながり、日本とのつながり、そして世界とのつながり。会社の規模や立場とは関係なく、一人の人間としてその資質を、その価値を試すことが出来る青年期における最良の場であります。自ら望めば個人や会社では経験出来ない立場で、場所で様々な経験を積むことが出来るのです。しかし、自分で限界を決めてしまえばそれ以上の成長はあり得ません。

活動の幅を広げることにより、より多くの魅力的な人との交流が待っています。共に切磋琢磨する仲間や、これまで(一社)豊田青年会議所の歴史を築いていただいた約600名にもおよぶ特別会員の皆様、そして日本・世界各地のメンバーとの出会いもあります。様々な交流で自分には足りないものを探し、憧れ、そして手本として自らを奮い立たせて更に自分を磨くことが出来るのです。この貴重な場に送り出してくれる家族・会社に感謝することを忘れず、関係する全ての方に自らの成長を見ていただけるよう邁進していきます。


<会員の力を大きな力にするには>

会員開発は質なのか数なのか。いつの時代も議論は尽きませんが、どちらも重要であることは間違いありません。青年会議所運動を推進するためには、より多くのメンバーと共に質の高い活動をしなければなりません。質も数も同時に取り組む。それが答えではないでしょうか。そのためには、会員一人ひとりが青年会議所への思いやその活動の素晴らしさを雄弁に語れなければなりません。地域の問題に対して真摯に取り組もうとする青年をより多く迎え入れるよう、それぞれの会員が自信を持ってJCについて語り、青年会議所の取組みや魅力を十分に伝えてまいります。

また、質も追及しなければなりません。JCの理念、組織、特性をしっかりと新しい会員に理解し、肌で感じてもらうことで、これまでもこれからも変わらぬ青年らしい活動の出来る組織を作り上げていきます。そして、組織としての力を継続的に向上させるためには、青年会議所運動の本質や自らの資質の向上を会員が継続して行わねばなりません。日本JCが有する素晴らしいプログラムを継続して体験する仕組みを構築することで、メンバーがより前向きにまちづくり運動へとチャレンジ出来るようにしていきます。


<組織の屋台骨を支える>

地域にインパクトを残すには、地域の課題を解決する事業を行うとともに、その活動を多くの市民に知ってもらうことが不可欠です。

(一社)豊田青年会議所のファンになっていただくという意識を強く広報活動にのせ、私たちが行う事業の内容やその成果を多くの市民に広く発信してまいります。また、私たちの活動を多くの方に知っていただくだけでなく、市民や関係する団体からどういう評価を得たのか、期待に応えられたのかをしっかりと吸い上げることで私たちの活動をよりよいものへとしていきます。

メンバーがJC活動に積極的に取り組むには、取り組めるだけの環境を整えることも重要です。会員が自らのJC活動をより意欲的に活動が出来るようにスムーズな情報展開をおこなっていきます。また、(一社)豊田青年会議所の伝統を守りながら、時代の変化に応じて見直しも行うことで、過去も現在も未来も信頼される組織であるように常に進化していきます。


~むすびに~

『やれるかどうか悩むよりも、まず自分自身に期待せよ』

マイケル・ジョーダン

やれない理由を考えることは簡単です。しかし、やるためにどうするのかを考え、そして行動して初めて新しい世界が待っています。その新しい自分に期待しようではありませんか。新しい自分は、地域で、会社で、家族で必ずやその成長した姿を認められるはずです。私たちはその域まで活動をし、青年会議所活動で学んだことを周りに本当に還元出来ているのでしょうか。自分が学んだことを活かす。それが出来なければ活動をする意味がありません。青年会議所に自ら求め、そして行動し、結果を出すことで自分が変わり、そして周りが変わる。そんな愛されるリーダーを目指して地域のために、会社のために、家族のために自らを成長させましょう。
そのために必要なもの、それは「愛」を伝えることではないでしょうか。私たちメンバーが恥ずかしげもなく、人を愛する、地域を愛する、国を愛する、世界を愛することが出来れば、根本的な問題にたどり着き、その解決を通じて、多くの市民、国民、世界中の人に愛が伝わっていくのです。その「愛」は、受け手の心を動かし、自ら前向きに考える「Positive Change」を多くの人に起こすことになり、意識の変革がおこります。市民意識の変革はやがて、自らが地域への行動を起こすActive citizen を生みだします。その一連のサイクルの中で大切なことは、地域において必要とされる新たな価値を創出し、地域の皆様に認められることで、組織は輝き、存続し続けることが出来るのです。

いつの時代も先を行く運動を行い、地域へ「Positive Change」の機会を持続的に創出することで、私たちの運動が地域に根差したものになるのです。
すなわち、持続的なインパクトを地域に与え続けるには
「確かな情報に基づく綿密な計画力」
「成果を出すための大胆な実行力」
「大きなムーブメントにするためのコラボレーション」
をそれぞれのメンバーが常に意識し、自らが「Positive Change」し、自らの成長が地域の成長に結び付けられるようメンバー一同活動してまいります。

愛してやまない豊田そして日本のため。